ローカルキャリア研究所

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【実施報告】3/26「人生100年時代のキャリアを都会とローカルから考える」
レポート

CAREER FOR 編集部

編集者
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桜が満開に近づいた2018年3月26日、「人生100年時代のキャリアを都会とローカルから考える」ためのイベントが開催されました。CAREER FORという社会実験の始まりです。


みなさんは、何のために働いていますか?何のためにキャリアを重ねていますか?
「CAREER FOR ◯◯」この◯◯の中は、人それぞれ違います。自分のため、家族のため、地域のため、お金のため、挑戦し続けるため・・・その答えは一つではないかもしれませんね。


CAREER FORとは「個人のキャリアと地域の未来をつくるプロジェクト」。ローカルでキャリアを重ねることは、どんな意味があるのか。島根県雲南市、岩手県釜石市、長野県塩尻市、岐阜県関市、石川県七尾市の5地域が連携して「ローカルキャリアはキャリアたるか」という問いを立て、その解を見つけるべく活動を行っています。


人生100年と考えたとき、1つの会社、1つの地域(場所)だけで人生で終わる人は少ないでしょう。複数の会社や地域で働くことがキャリアにどんな豊かさをもたらすのか、その解をみなさんと探したい、それが今回のイベントの目的です。





外との関係性が自己変容を促す





第1部は15時にスタート。ファシリテーターは一般社団法人RCFの代表理事、藤沢烈さん、パネリストはCAREER FORのメンバーである釜石市オープンシティ推進室長の石井重成さん、塩尻市シティプロモーション推進係長で「元ナンパ師公務員」山田崇さん、大企業の若手の会「One JAPAN」の共同発起人濱松誠さん。


ローカルでは、地域外の人々との関係性づくりや課題解決に取り組むための仕組みづくりを模索し、一方で都市では若手社会人が会社の枠を超えて集まり、自分自身や組織を変えるための取り組みを始めています。


愛知県出身の石井さんは、東日本大震災を機に東京から釜石市に移住し、5年間復興に取り組んできました。石井さん自身が、まさにローカルキャリアの体現者。そんな石井さんの問題意識は、「どうすれば地域と都市の輪郭をなくすことができるのか?」「それぞれが、オーナーシップを持って暮らすことができるのか?」ということ。


One JAPANの濱松さんは、大企業では自分ひとりができることは限られているけれど、組織にいるのならば組織をよくする活動をしたいと「OnePanasonic」という活動を始めたそうです。活動しているうちに、同じ想いを持つ他社の若手メンバーと出会い、今では26社120名が集まる組織に。


塩尻市の山田さんは、公務員で知らない人はいないと言われる「元ナンパ師公務員」。日本各地で年間200回近くも講演するほどの人気ぶりです。学生の頃のナンパの舞台は渋谷のセンター街でしたが、現在の舞台は長野県塩尻市。さまざまな人をナンパして塩尻に連れてきた結果、大企業の社員100人が塩尻市の課題解決に取り組むプロジェクトが生まれています。


「赤と青が交わると紫になるように、大企業の人も地域の人も交流によって自己変容がおき、地域と都市の輪郭がなくなる」。石井さんが語ってくれたことは、全員に当てはまります。仲間を作り、外との関係性を育むなかで、自分自身も関わった人たちも自己変容していく、それがローカルキャリアで実現できることのひとつではないでしょうか。



ローカルで働くことはキャリアになるのか?



「将来は、社会に貢献したい」という若い世代が増えています。ローカルでは大企業と異なり、やったことに対してダイレクトに反応があり、オーナーシップを持って働くことができる、というのもローカルで働く利点のひとつ。でも一方で、キャリアを積める環境がなければ、失敗事例も増えるのでは?という問いがあがりました。


では、どんな地域であれば、キャリアを積めるのでしょうか。
「対等なパートナーとしての関係として、受け入れる力。受容力が必要」
「海外にいくときや転職するときと同様、個人と地域をつなぐ、仲介者が重要」
などさまざまな意見がかわされました。



企業とローカルとの関わりを考える



続くパネルディスカッションでは、ソフトバンクの社内ベンチャー企業であるSBイノベンチャー株式会社の佐橋さん、ハウス食品の酒井さん、岐阜県G-netの田中勲さんにご登場いただきました。


佐橋さんは、ソフトバンクで社内ベンチャーをサポートしています。テーマのひとつが「地方創生」。塩尻市に社員を送り込み、当事者意識を持って課題解決に取り組む機会を作っています。


酒井さんは、出産を機に社会との関わりを強く感じ、ハウス食品に転職。新規事業開拓の一環で、七尾市と関わりを持つようになりました。七尾での経験は、食品会社としての価値提供の在り方を考えさせられたと言います。


G-netの田中さんは、CAREER FORのメンバー。G-netは、14年前からローカルで活躍する人材育成を行っています。現在は地元企業への就職支援が中心ですが、将来的にはプロボノなど複業的に関わる人も増やしていきたいとのこと。


パネリストのみなさんが話してくれたのは、当事者と関わること、体験することの重要性でした。ソフトバンクで取り組んだ塩尻市でのプロジェクトでは、塩尻市での課題解決につながる起業案件を募集したが、審査の結果ゼロに。それでも当事者意識を育むことにつながり、事業創造の過程で人は勝手に育っていくと確信を得たそうです。


参加者のみなさんもディスカッションの輪に入り、学生が海外研修に行くことで得た変化、地域だけでなく多年代が関わることによって生まれる変化など、越境することで人は変化していくという実例が、次々と語られました。


人との関わりや体験を通じて、当事者意識を持ち、さらに課題解決に関わってもらうためにはどうすればよいのか。議論は尽きません。


最後は、七尾市の森山さんが「CAREER FORは、まさにローカルで活躍できる人材を増やし育てる取り組み。5地域が連携して、ローカル人材が育つ“ローカルキャリアシティ”を都市や企業と一緒に作っていく」そんな力強い言葉で締めくくりました。


人生100年時代と考えると、40歳でも若者です。これからのキャリアをどう築いていくのか考えたときに、ローカルと関わりを持つことも選択肢のひとつになると思いませんか?











パネルディスカッションの様子を、タムラカイさんがグラフィックレコーディングしてくださいました!



あなたのキャリアは、何のため、誰のためにあるの?



第2部 は、グリーンズの小野さんをナビゲーター、株式会社デンソー バリューイノベーション室の横田親さん、ヤフー株式会社社会貢献事業本部の沼田尚志さん、パソナ東北創生の代表 戸塚絵梨子 さん、 CAREER FORのメンバーであり雲南市NPO法人おっちラボの宇野由里絵さんをゲストにお迎えしてゆるゆるとしたトークイベントがスタート。





全員、超パラレルキャリアの持ち主。二足のわらじどころか、5〜10つの仕事をしています。


人生も日々の仕事も濃厚すぎる話はとても刺激的。


「週7日全部、遊んでるように働く」と豪語するのは横田さん。大企業・大学講師・NPO・その他飲食店や相談窓口などなど、まさに手掛ける範囲の広さは日本でも指折りなのではと思ってしまうほど。過去のキャリアも含めるとまさに10以上の様々なカテゴリの仕事に携わってきたツワモノです。


横田さんに言わせると、「CAREER FOR Happiness」!だとのこと。


みんなの好きなことを仕事にすれば、大企業も変わるかもしれない…と、横田さんの経験を聞くと信憑性を感じてしまうから不思議です。





スーパーイノベーターの沼田さんも強烈な個性と実績の持ち主。仕事での経験をバネに新しい取り組み(シンビジ)を立ち上げ、日本中の異端児と友達になって、メディアに取り上げられたり仕事が舞い込んだり・・・話を聞いているだけでも面白くてずっと聞いていたいと思わずに居られない魅力的な人物です。


驚くほどのインパクト、結果を生み出しながら。「死ぬこと以外はかすり傷。合理性なんかない。運ですよ!だから、息をするようにできることをやったほうがいい!」というのが持論。


なので、「CAREER FOR 何もないっす…」だそうです。





CAREER FOR事業のメンバーでもある宇野由里絵さんは、まさにローカルパラレルワーカー女子のトップランナー的存在。超多忙なのに彼女の周りはいつもほんわかとした空気に包まれているのは「全てがご縁でつながっている」というポジティブシンキングから来ていると思いきや、「仕事は一つって誰が決めたの?」と問題提起。しかしながら、共通点は「好きであること」が軸なのが羨ましくも心強い限りです。


震災がきっかけで釜石に飛び込んだ戸塚絵里子さんも負けていません。若くして東京の大手人材会社から「なんとかしたい!」という強い思いを社内で訴え続け、周りを説得して社内ベンチャーを立ち上げ、社長として獅子奮迅の活躍ぶりで地域での生き方、働き方を実践中です。戸塚さんにとっては「CAREER FOR 自分」だそう。





自分がどんな役割かを知ることで、いろんな人と繋がっていく。人生100年時代には、役割も変わってくると全員がうなずきます。
自分には無理、遠い世界の話、、、と思われるかもしれませんが、パネリストからのアドバイスはとても身近ですぐにでも実践できそうなものばかり。


「まずは口に出してみる」「特別と思わない」「やらないことは言わない」「誰かに相談してみる」などなど。一緒に何かをやりたいかどうか、人の失敗は許す、など仕事以前の人間としての価値観に関わるような発言もありました。
パネリストの共通点として、「いきあたりばったり」というワードに全員が反応。「目が覚めるだけで幸せ」「断るという選択肢はない」など、何とも超ポジティブ。な枠にとらわれず、自由に生き働くみなさんの話を聞いた人は、今とは違う選択肢があるのかもと思えたのでは?


トークのあとは懇親会で盛り上がり、あっという間にお開きの時間となりました。今後もさまざまな場所でイベントを開催していきますので、ぜひぜひ動向をチェックしてくださいね!




この記事を書いた人

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